日本人の人生儀礼



◎記念写真
 七五三の記念撮影は、晴れ着に千歳飴を持ち、一人で撮る場合や、両親と一緒に撮影する場合がある。会館で記念撮影の予約を行っている所もあり、また撮影にあたっては貸衣裳で行う事も可能となっている。七五三の祝衣裳、着付けメイク、写真、お祓い、祝宴が一度に整う会館。主催は両親が建前であるが、実際は祖父母が孫のために行う場合が多い。千葉県・茨城県では結婚式と同様の規模で行われるところもあり、大きなマーケットとして注目されている。

◎日取り
 11月15日を中心に10月〜12月の大安吉日を選んで行われる。招待する方の都合も考え、土日を希望する人が多いが、結婚式シーズンと重複するため、ゆったりできる平日を選ぶ場合が増えている。

◎招待状
 本人、両親、両家実家の祖父・祖母くらいまでの会食会であれば不要であるが、親戚・近隣・両親の媒酌人・来賓までご招待して宴を張る場合はあらかじめ2カ月位前に招待状を送る。

◎お祝いの席
 内祝いの宴席であり、本人・両親とも上座でよいが、ある程度の列席者がある場合、両親は末席に座ることも多い。メインテーブルに本人と両親、媒酌人が座る。

◎お祝いの膳
 お目出度いいわれのものを使用した本膳料理が多い。食事は赤飯又は栗おこわ、お汁粉が出される。

◎式次第・演出
@開宴の辞
A両親あいさつ
B本人あいさつ
C来賓祝辞
D乾杯
Eお色直し(千歳飴を列席者に)
F祖父母より謝辞
Gお開き
 演出は司会・EL・VTR・ビデオメルヘン・キャンドルサービス
子供の作文、ピアノ発表

◎引出物
 折詰・記念品・引菓子・紅白餅/赤飯・千歳飴・ケーキ。
内祝に熨斗をつけ、子供の名前を入れる。

◎衣裳
 列席者は背広、ワンピース。
両親は背広、訪問着。

9 入学祝い
 特別な儀式は行われないが、入学にふさわしい品を贈って祝いをするということが一般的となっている。

◎幼稚園入園の贈り物
 子供の祖父母や親類は、入園に必要な品物を子供の両親に聞いて贈る。幼稚園では制服を着るので、衣類は普段に着られるものが喜ばれる。学用品では、規定のものを使う場合があるので、事前に確認したほうがいい場合がある。

◎小学校入学の贈り物
 小学校入学の場合は、子供の祖父母や親類は、ランドセルや通学服・机などの実用品を贈ることが多い。また贈り物が重複しないように、前もって子供の両親から希望を聞くことが大切である。肉親以外では、ノート類やクレヨン・鉛筆・筆箱などの学用品、シャツ、ズボン、セーターなどの衣類も重宝する。現金を贈る場合は、のし袋に「入学祝」と書き、水引きは紅白の蝶結びにする。

◎お返し
 入園・入学のお祝いに対して、お返しの品物は必要なく、お札状を送るだけでよい。この場合、本人のお礼状や入学時の写真を同封することもある。

10 十三参り
 十三参りは関西を中心とした行事で、数え年13歳になった男女が、3月13日、14日に、京都市西京区嵐山にある法輪寺の虚空蔵菩薩にお参りするものである。智恵の仏様である虚空蔵菩薩の命日が3月13日にあたるのでこの日にお参りするといわれる。13歳という年は、男女ともに、子供から大人へ変わる時期に当たるので、この年に親子ともにお参りをして、知恵をさずかる大切な行事となっている。

◎お宮参り
 神前に十三品のお菓子を供えて参拝し、そのお下がりを境内を出るまでに食べてしまうというしきたりがある。今も残っている言い伝えに、「帰り道で振り返らないようにする」ことで、せっかくさずかった知恵を落としたり、戻さないようにするためといわれている。お祝いの晴れ着は、女の子は本裁ちの中振袖か小振袖、男の子は紺のスーツなど、大人の仲間入りをするのにふさわしい服装。

11 成人祝い
 満20歳の誕生日は、社会人として出発する大切な記念の日である。満20歳をもって成人とする思想は中国からきたもので、「礼記」には、男子が20歳になると、冠をかぶって成人を祝う儀式が書いてある。ここから、若い男性を「弱冠(じゃっかん)」という。この加冠の儀式に相当するのが、日本の元服式である。一人前の成人となる儀式として、男子は髪を結いまとめて初めて冠をかぶった。元服式に冠をかぶるのは、もともと朝廷に仕えている貴族が行う儀式であった。冠は貴族の制服の一部で、武家には関係がなかった。武家では、冠に代わるものとして、成人する男子は烏帽子をつけて祝うようになった。成人した日からは、それまでの童名を改めて正式の名をつけた。その場合には、烏帽子をつけた人(烏帽子親)の名を一字をもらうことが一般的であった。女子は、それまで長くしていた髪を初めて結いあげ、かんざしを飾った。一般庶民の成人式は、男子は前髪を剃り落とす儀式が中心であった。そこで成人の祝いを別名、「前髪落としの祝い」とか、「中剃り祝い」ともいった。

◎成人の日
 1948年(昭和23年)[国民の祝日に関する法律]によって、他の祝日とともに定められた。その趣旨は「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝う」もので、市町村単位で祝賀と激励の会が催されている。成人式の服装は女性は振袖が多く、男性はスーツがほとんでである。この成人式を記念して記念撮影をする人も多く、当日は混雑するので前撮りするケースもある。

◎贈り物
 成人のお祝いは、親類や親しい人が贈る場合、身の周りの品物で男性ならワイシャツ、ネクタイをはじめ、時計、万年筆など、女性なら香水やスカーフ、アクセサリー、靴、ハンドバッグなどが喜ばれる。贈り物の表書きは「祝御成人」「成人式御祝」とする。

◎お返し
 成人のお祝いに対しては、お返しの必要はないが、本人がお礼のあいさつに伺うことが大切である。成人を祝うパーティを催すのであれば、送り主を招待してお返しに代えることもできる。

お祝いの仕方
◎日取り
 成人になった本人は晴れ着を着て客を迎えるため、成人式の式典後がよい。しかし参加者の都合を考え、成人式後の近い休日もよい。

◎招待者
 家族や親族、親しい人を招待する。招待状を出す場合はーカ月くらい前。内輪のパーティなので電話でもよい。

◎主催
 成人した子供を披露するので両親が主催者となるケースが多い。

◎お祝いの仕方
 両親が子供の成人を報告し、親しい人からの祝辞をいただきパーティを開宴する。歌や踊りで賑やかなパーティを演出し、最後に本人から成人の決意とお礼を述べて終了とする。


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